静謐に、しかし視聴者の神経を確実に削っていくパート。
玲音がリアル・ワールドに帰還し自室から出ると――、
廊下の突き当たりに美香が立っていた。
食堂のある階下へ降りると――、何故か両親は並んで座っている。
イモーターは発売されている。
両親は玲音を見ようとすらしない。
玲音は冷蔵庫から麦茶をグラスに入れて――、
以前、美香が同じ様な動作をしていた芝居の反復でもあるのだが、あの時はデカンタ型のワインを盗み呑む――という芝居だったのだが、やはり麦茶をただ飲んでいる様に見えてて、やや遺憾だった。
前回黒沢に問われた事、岩倉家の本当の娘なのか問われたと両親に、玲音は思い詰めて訴える。
「おかしいよね、そんなの」と玲音は冗談として否定して貰いたがっている。
しかし――、両親は振り向きすらしない。
玲音は気落ちし、グラスをすすいで部屋に戻ろうとすると――、
冷たい視線が玲音を貫いている。
岩倉家の中で、秩序だったものが壊れている。
一方、学校生活の方にも異変が起きていた。
ハイコントラストの登校場面バンク、玲音が自分の影の中に無気味な何かを見る場面の反復があった後――、
玲音に背中に迫る影。
肩を叩かれ振り向く玲音。
ありすと、その背後で不信の目を向けている麗華と樹莉。
「あたしは信じてないけど、玲音じゃないよね」
「何の事?」玲音には全く思い当たる話ではない。
責め立てる麗華を諫めるありす。
玲音は何かとてつもなく悪い事、しかもそれが自分に関係している事を予期して脅え出す。
その表情を見て、ありすは「やっぱり違う。(悪い事をしたのは)玲音じゃない」と結論づけるのだが、「やっぱり」と思える迫真の表情を玲音は浮かべていた。
その時、ありすは学校に車で来た若い男性教師を見る。
ありすはこの教師に片想いをしていた。
恥ずかしくなって校舎へ走り出すありすを、玲音は茫然と見送るのみ。