このタイトルに込められた意味は、恐らくは「ファン」と「公式」、「リアル」と「ワイヤード」、2次元と3次元――、そういったものが「領域」なのだろう。そして確かに、その領域は崩れていた。
2018年夏のファン主催イヴェント「クラブサイベリア」は、「serial experiments lain」劇中に登場する“渋谷のクラブ”をリアルに一日だけ再現しようという、実に刺激に満ちた企画だった。放送20周年という契機でもなければ、「知る人ぞ知る」1クールのアニメのイヴェントなど、開催は不可能だったと思う。
クラブサイベリアは、単に音楽と飲み物提供だけではなく、劇中の数々を再現する試みや小イヴェントも盛り込まれていた。
しかし一番の売りだったのは、〈新たに〉描かれたlainのファンアートを募り、ラウンジの壁一面を埋め尽くすという「lain尽くし」の空間を作り上げた事だろう。
ファンアートは、イヴェントには実際には来られなかった人の作も多く、全てはTwitterを通じて募られたものだった。
プロの作をも迎え、20年後に新規に描かれたファンアートは、主宰のシオドア @teodoro_m9 氏からイヴェント後に冊子化される事もアナウンスされていた(クラブでの掲示と冊子への収録は別個に確認がとられていた)。
クラブサイベリアで、岩倉美香のコスプレをしながらDJとして参加していた@__stein(石林グミ)さん(日詰明嘉氏と二人で『TEXHNOLYZE』の自主製作ムックを3冊作ってくれた)が編集し、「BREAK THE BORDER」という美麗な同人誌が出来上がった。
普通の同人誌より割高ではあるが、全ページがカラーで、ファン・アートだけではなくクラブサイベリア当日の様子も、オフィシャル・フォト担当小馬谷優介氏による多くの写真が収録されていて、どういう雰囲気であったかを伝えてくれている。
20年前に放送を終え、暫くネットでのファン活動が盛り上がった掉尾に、ファン・アートを収めたCD-ROMが有志の方々で作られた事を改めて思い出す。
20周年を祝うファンの人達の〈熱〉が、この様な形でまとめられたのも、何か運命的なものを感じる。
既に予約分は完売した様だが、入荷待ちリクエスト(数が多ければ増刷)を受け付けている。
とりあえず在庫切れました!
— シオドア「BREAK THE BORDER」予約受付中 (@teodoro_m9) 2019年2月3日
支払い期限切れのキャンセルが出たら在庫増える仕様になってます。
少ないですが後払い分が若干ありますのでキャンセル待ちされる方は入荷お知らせメールを登録しておいてもらえたらと思います#クラブサイベリア#lain20th#lain21st#SerialExperimentsLain experiments pic.twitter.com/qHypEc1TgK