welcome back to wired

serial experiments lain 20th Anniversary Blog

調査中間報告 Word of Mouth

 

f:id:yamaki_nyx:20181213002512p:plain

 

 

 夏のクラブサイベリア、冬のクラブサイベリア大阪と、リアルに「今、lainに強い関心を抱く人々」に触れあう機会があり、その度に放送時の視聴者層よりも若い事に驚いてきた。
 作品自体が視聴者それぞれ異なる受け止め方をされる様な作りになっているのだから、それは視聴者層もそれぞれだ、と思いつつ20年を過ごしてきたが、ちょうど放送20周年という節目なのだし、実際のところどうなのだろうという好奇心が強まった。
 そこで簡単なWEBアンケートをGoogle Driveに設置してから一週間が経った。

 告知は私のアカウントと、ライター・廣田恵介さん(設置したのは彼からインタヴュウを受けた日の夜だった。インタヴュウはややして公開される予定)Facebookアカウントからのみ。今、Twitterなどでlainについて関心が強い人に限定されている。従って何らかの統計的な価値はあまりないとは思う。しかし概要は何となく知る事が出来た。

f:id:yamaki_nyx:20181213002652p:plain



 今は回答すると、それまでの回答結果を見られる設定にしてあるが、最初に設置した時はこの設定に気づかなかった。
 結果はこのリンクから見られる。

docs.google.com


 全ての回答はGoogle Spread Sheetに書き出されており、記入されたコメントはこのリンクで見られる。

docs.google.com


 設置後一週間で700越の回答結果。


 設問1「あなたはリアタイ勢(リアルタイムで見ていた)か」

f:id:yamaki_nyx:20181213002926p:plain
 結果は安定して1/4程度がリアタイ勢で、残りは後にアニメの存在を知った人々という事になる。


 設問2「あなたの今の年齢は」

f:id:yamaki_nyx:20181213002943p:plain

 20、30、40歳ちょうどの人はどうすればいいんだという抜けた設問にしてしまい申し訳なく思っている。どちらかに入れてくれたのだろうとは思うが。

 にしても驚くのが、2/3が30歳未満であり、10代が20%を越えている事。
 私は30~50代がコアになっていると思い込んでいた。
 10年以上前には既に懐アニ(5ちゃんねるの板名。懐かしのアニメ)の範疇となっていた「lain」は、徐々には忘れ去られ、言及する人も消えていくのだろうと漠然と思っていたのだけれど、そうではなかった。
 配信などで今も見られ易い状況になっているのだから当然なのかもしれない。しかしふた昔も前のマイナーなアニメなのだ。
 今の若者が見て「古っ!」と切り捨てられないでいるのは、純粋に映像作品としての力があるのだろうと受けとめている。


 設問3「あなたは日本人か」

f:id:yamaki_nyx:20181213003000p:plain

 これは一時期、海外勢の方が僅かに上回る時間帯もあったのだが、若干日本勢優位で推移している。

 海外、特に英語圏での受容のされ方については、Twitterアカウントの方では触れた事があるのだが、本ブログではまだ記述し損ねていた、こちらのブログに詳述されており、「そんな事になっていたのか」と驚嘆した。

toshinoukyouko.hatenablog.com
 この4chan(英語版ふたばちゃんねる)発祥のムーヴメントは、2014年頃からの流れで、ここでの中心人物達はいずれも20代の若者だった。


 しかし、では非英語圏はどうなのか。
 私が知る限り、声を吹き替えたのは英語版のみで、フランス、スペイン、ドイツ語などの字幕版が正規にリリースされた筈だ。

【追記】韓国では吹き替えたものが2000年に放送されたそうだ。

 

 スプレッド・シートを最後までスクロールダウンすると、国別のグラフがリアルタイムで見られる。

f:id:yamaki_nyx:20181213003146p:plain

 国を自己記入式にしてしまった為、様々な書かれ方をしていたのを、私が手動で書き換えて、やっと傾向を見出せた。

 一位は当然ながらアメリカ。
 二位は急激に伸びたロシア。vkというロシアのコミュニティSNSで拡散された様だ。
 そして三位がメキシコ。アルゼンチン、チリなどの国も見られ、南米が強い。
 これは「デジモン」の受容のされ方も似た傾向にある気がしている。アクティヴなデジモン・ファンは南米在住者が多いのだ。
 欧州、北欧と、数は少ないものの広がりを実感出来る。
 一方、韓国や中国は思ったよりも少ない。

 設問4「どうやって作品を知ったか」f:id:yamaki_nyx:20181213003308p:plain

 ネット関係が多い、というのが第一印象。書かれ方はそれぞれだが、何となく自力嗅覚で見つけた人と並ぶ程に、「口伝え」"Word of Mouth"で他者から薦められた人が多い様だ。
 大掛かりな商業的宣伝など無かった作品にとっては、この広まり方が理想なのは言うまでもない。ある種の「カルト」化を正しく果たしたのだと言っても良いだろう。

 余談であるが、Weather Reportを脱退したJaco Pastoriusソロ・プロジェクトとして集めたスーパースター・バンドが-Word of Mouth-という名称だった。


 設問6「どうやって観たか」

f:id:yamaki_nyx:20181213003337p:plain

 本稿執筆時点近くになって、YouTubeでの視聴層が増えた。正規に観られない(発売/配信されていない)エリアの人なのだろうと思っておく。

 


 設問5「どの点が好きか」

f:id:yamaki_nyx:20181213003417p:plain 長文は、スプレッド・シートのセルをクリックすれば全文を読める。スマートに閲覧出来る方法を探したが、これというものが見当たらず、スプレッド・シート状態で読んで貰うしかない。

 ロジカルに読む人、雰囲気を愉しむ人などそれぞれ。
 ここで傾向などを見出そうとは思わない。


 回答してくれた方々には心より御礼を申し上げる。
 尚、このアンケートは受付を終了する理由がないので、このまま設置しておく。
 まだ回答されていない人はこちらから。

docs.google.com

 

serial experiments lain」は、プレイステーション版がオフィシャルには再販される事が無いのと同じく、アニメ・シリーズも中村隆太郎監督が亡くなっている今、その後も無い。
 完全に完結してしまっている作品についての「この後」を考えても無意味かとは思う。
 しかし20周年を迎えて、ファン・イヴェントが開催されたり、関連商品が再販、或いは新規な商品(これについてはまた後日)が発売され、良い20年だったと思える。