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serial experiments lain 20th Anniversary Blog

Layer:08 Rumors - lain vs lain

 

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 ありすの部屋で然様な出来事が起こっていたという情報が、ワイヤードを駆け抜けていく。

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 玲音は自分のベッドの中でそのあまりに残酷な事実――自分が認識しない自分がしてしまった事――に、悲痛な声を上げるしかなかった。

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 この場面はシナリオにはなくコンテで加わったもので、極めて強烈な印象で玲音の心が裂かれる様な気持ちを共感させる。

 

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 ここからのイメエジ・カットの連続こそが、中村隆太郎コンテの恐ろしい威力を感じさせるパート。

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 全く見当違いなのだろうが、私は『哀しみのベラドンナ』を想起した。

 

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 そして、レインがlainと対決する。

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 玲音と視聴者は当初、この「悪いlain」は悪意ある他者(デウスかナイツか)によって作られた別個の存在だと無意識に思おうとしている。だがそうではないという事が次第に判ってくる。

 

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「他者の体温」――、ありすに握られた手、lainの頸――。

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 肉体の触れあいが、この抽象的なモチーフで展開していくアニメの中では極めて意味を持っている事は前にも述べた。
 殺意がある訳では無く、女の子が女の子の頸を両手で絞め、頸動脈の脈動を感じる――という描写は、以前にも描いた事があった。宝塚映像版「学校の怪談/闇より囁くもの」(サブタイトルはアレだが神話作品では全く無い)。人が人に触れて体温を感じる――自分自身の実存を実感する――という描写を、直裁な性的ニュアンスを廃して描くには、これ以上のものを私には考えられなかった。

 

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