welcome back to wired

serial experiments lain 20th Anniversary Blog

「lain」の実写

 

 9話の回顧に入る前に、なぜこのアニメ・シリーズで実写素材を多く入れたのかと、その一部を私が製作した経緯を説明しておきたい。
 一部はTwitterカウントで「デジモンテイマーズ」の回顧の時に書いているのだが、Tweetの繋がりだけでは判り難い部分もあったので、改めて書いておく。


 まず普通のテレビ・アニメで実写素材が導入されたら、特に現在の視聴者にとっては「世界観が崩れる」とでも言うか、基本的には拒否反応が出る。
 通常、アニメーションの監督は自分自身が作り出す映像で作品世界を構築したい訳で、実写素材など入れたがらない。
 
 しかし「lain」の場合、そもそもゲーム版が原案として存在しており(リリースはアニメの途中だったがメタ的な前後関係で言うとゲームが先にある)、途中から参加した中村隆太郎監督は異様な映像を生み出す為には手段を選ばない映像作家で、上田Pが見出した写真家の電柱・電線写真も加工素材として使用させて貰っていた(写真協力でクレジットされている)
 そして何より「次回予告」が実写だった。

 次回予告コーナーは必要なのに、撮って出し状態で製作している小さなスタジオの作品は、予告用に先行で仕上げるなどという東映アニメーションの様な事は到底不可能で、それを逆手にとって様々な試みは多くの作品でなされてきた。
lain」は上田Pが、清水香里さん本人を素材に、自分で撮影・編集した実写映像で次回サブタイトルだけを表示するという事にしたので、我々はアンタッチャブルというか「そこは上Pの世界だから」と隆太郎さんもノータッチだった。
 だから1話の時点から既に実写が存在していた。

 1クールアニメとて、2,3話分はグロス(外注)に出すというのは当時からも普通にあったのだが、当然監督としてのコントロールが利き難くなってしまう。トライアングル・スタッフは全話をやりきる覚悟だったが、監督決定が遅かった時点でも既にスケジュールは厳しく、私には逐次的に「大変そうだ」「大変になってる」と状況が間接的に伝えられる。

 なるべくカロリーの低いシナリオを、と意図しても、10話の様に作画も撮影も却ってノーマルよりハードな仕事量を強いるものになってしまうのだ。まあ隆太郎さんのコンテが火を点けてホンよりも凄まじい描写にしているのだけれど。

 となると、作画尺を物理的に軽減させるには、モーション・タイポグラフィクスや2Dコンポジット・オンリーのカットを増やし、普通はナシな実写加工も導入して支援する以外になかった。

 7話の「ねずみヴィジョン」(ねずみの主観映像)をト書きに(実写加工?)と記したのは、提案であり、一旦シナリオを引き取ってコンテを描く中で、隆太郎さんは私に製作させる事を決めたという経緯は前に述べた。

 何故そういう判断がされたかは、単純に「経験」があったからだった。
 当時の私の仕事場では、DV素材の編集・加工が可能な機材とソフトウェアが揃っていたのだ。
 なぜそんなものがあったかは、同じトライアングル・スタッフの以前の作品に関わっている(同じくアニメーション・プロデューサーは安部正次郎氏だったので、任されたという事も合った)。
 そして、その時に共同で携わって戴いた方が、「lain」9話のコンテを担当する訳で、振り返ってみても運命的に面白い事が起こったのだと思っている。
 で、その作品というのが――

 To Be Contined (no period)

f:id:yamaki_nyx:20180623014531j:plain

 これは私の写真。浅草凌雲閣の遺構が見つかった、その中央辺りと思われる場所から真上を見上げたもの。

 この時の事はこのモーメントにまとめている。

twitter.com

 

編集