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serial experiments lain 20th Anniversary Blog

通信速度の高速化

 

 若い人には信じられないだろうが、パソコン通信も初期のインターネットも、通話回線で従時課金で接続していた(つまり接続中は通話が出来ない)
 私は経験ないが、固定電話の受話器に音響カプラーというものを被せての通信だと1200bpsが最大だった。
 パソコン通信を私が始めた頃のモデムは2400bps。それが一年くらいで4800, 9600, 11500bpsとモデムの通信速度が倍加していったが、それにしても遅かった。たかが掲示板のテキストファイルを読み込むだけでも結構な時間が掛かる。
 だから夜間にNTTのカケホーダイという1分当たりの通信費が安くなる時間帯になると、サーバにアクセスが集中してこれまた遅くなるばかりか、アクセスが出来ないというケースも起こる。
 ネットに繋ぎまくる人(チャットにはまるなどして)はNTTに多大な料金を払う事になる為、NTTの事を「みかか」(JIS配列でかな入力するキーがこの語に相当する事から生まれたジャーゴン)と呼び忌み嫌われた。

 私は仕事場でISDN回線にしていたが、2000年頃からやっと常時接続という夢の様な環境が整備され始める。
 初期に主流となったのは電話回線を利用したADSLで、これの回線速度は電話局との距離によって変わるというデジタルとは程遠い仕様だった。またテレビ衛星を利用したネット接続サービスも存在したがすぐに消えた。
 仕事場を移したのを期に、私はUSEN(現U-NEXT)の光ファイバ回線と契約してつい数年前まではこの環境だった。

 家族の事情で転居した際、ケーブルテレビの接続に切り替えてここ二年程使っていたのだが、これがやはり遅い。なのでやはりネットは光回線を別途契約する事にした。まだ家のところまでは来てないが、主線が届くと5Gbpsが出る触れ込み。実効速度はそこまでは行くまいが、気分的には相当楽になるだろう。

 USEN時代は固定IPだったので、MiniITXのベアボーンでファイル・サーバを立ち上げていた事がある。「lain」の製作をしている頃だが、上田Pが「最近鯖を立てる為にLinuxを勉強している」と言ったので、これは負けてられないと手をつけた。

 その頃はRedHatディストリビューションがメジャーで、インストール自体は極めて簡単だったが、サーバとして運用するには様々なポートの設定が必要で、なかなか本に書いてある通りにいかない事が多かった。
 上田Pに何で勉強しているのかと訊くと、「2ちゃんねる」(のUNIX板)だという。確かにスラッシュ・ドットJPなどだと専門的過ぎて、ニワカが今更な質問は憚れる。勿論2ちゃん(現5ちゃん)でも初心者の質問は疎まれるが、細分化されたスレッドを遡って読めば見えてくるものがあった。
 後年、ネット発祥の怪談を知る為に2ちゃん過去ログを目が潰れるまで読んだりもしたが、それからも10年くらい経ち、すっかり縁遠くなってしまった。

 Linuxについては勿論ネットのリソースでも大分の勉強は出来た。そして、「オープンソース」による開発という概念が実に興味深く感じられた。
 常にそれが巧く機能するとは決して限らないのだが、一人または複数のクローズドなソフト開発では辿り着けないところまでオブジェクトとして想定し得るのだ。

 こうしたネットに於ける共同/競同開発という在り方は後に「デジモンテイマーズ」の設定背景に生かされる事になる。