NAVIが動き出しても、千砂や誰か知らない人物からのメールは来ていない。
携帯NAVIの方にはありすからのメッセージが着いている――という事はアカウントはリンクしていない様だ。
ともあれ消極的にだが、玲音は街に出る。
玲音は安倍君も版権毎に新規な衣装を着せるのだが、岸田さんもほぼ各話毎に衣装を換えている。樹莉には酷評されるのだが、いやいやかなりのお洒落をしているじゃないかと放送時から思っていた。
この時の衣装が、オープニング時に用いられた。という事は2話作成時にオープニングも着手されたという事になる。
かくしてサイベリアに来るが、入り口前で躊躇していると(これは大体、最初に入るクラブでは個人的に幾つか経験がある)、「邪魔だ」と小学生三人組「KIDS」(という設定は別になかったが、ムックなどの扱いでそういう事に後になる)が初登場。
どうも会話からして、彼らは音楽を愉しむというよりはワイヤード関係の情報を持った人(ハッカー)に会えるかもしれないという動機の様だ。
やっと集合出来る4人。しかし――、アクセラの過剰摂取で常時ワイヤード状態になっている少年が突如銃を乱射しパニックに。
こればかりは言いたくはないが、今もこうした事件がアメリカでは始終発生している事に心を痛む。
当時の放送局の指針として、「未成年」のキャラクターに「銃」を持たせる描写はNGとされた。日本では少年犯罪で銃が使われるケースなど殆ど無いので、当時から疑問ではあったのだが、シナリオを読み返すとレーザーサイト付のグロックとはっきり書いている。
レーザーサイトがついているからこれは光線銃なんです、などという詭弁が通ったのだろうか。むしろ「少年に見えるけど実は成人しています」の方がまだ説得力があったと思うのだが。
錯乱した少年は、ワイヤードがリアル・ワールドを侵している事を恐れている事が断片的に判るのだが、それを耳にした玲音は表情を消してじっと見つめる。
玲音の姿が照明で浮き上がると、少年は絶望していく。
そして玲音がそれまでのおどおどしたトーンとは全く異なる、確信を持った強い声で言う。
「どこにいたって、人はつながっているのよ」
ノンモン(無音)にノン・エフェクトのリアルな声がもたらすインパクト。
少年は絶望して、銃口を自らの口に向けてトリガーを引く。
――何故、2話で銃というものをピックアップしたエピソードを書いたか。しかもその結末が銃口を自分に向けて引くというものにしたか。
ゲームとは違う次元へ向かうぞという、密かな宣言だった。