そして3人目の「ナイツ」は「ショウちゃんママ」。
NAVIはピザ・ボックス型で、当時だとSun MicrosystemsとかのWorkstationがこんな筐体だった。
内職して買った、と言っているが、正規の収入かは疑問。
小さな梱包物を配達にきたのは、玲音に最新型NAVIを配送したのと同一人物。あわよくば主婦と懇ろな関係になりたい欲望を隠さない。
まあこんなに色っぽかったらしょうがないよね、という念入りな描写。
そこに都合良く「ただいまー」とショウちゃんが帰宅してきて、配達人は退散。(このワンカットも凄いリアルなアニメーション)
そんな彼だが、よもや2年後には文科省傘下(というのはダミーだが)のネットワーク監視機関の室長として都庁の中に秘密基地を築くとは想像出来なかった(※「デジモンテイマーズ」の山木満雄ヒュプノス室長を演じたのが、同じ千葉進歩さんだった)。
なぜ3人目を若い母親にしたかというと、オープニングの1カットでゲームに夢中になっている小学一年生くらいの男の子が映っていて、タロウよりも若い子どもがいるよな。ならお母さんも若いな、という連想をしたからだった。
ショウちゃんは実にリアルで達者な演技だったが、タロウは到底同年代の男子が言わない様な事を言わされているのだから滝本君は苦戦していて、ショウちゃんはリアルに言いそうな台詞しか言わないから分があった。にしてもナチュラル過ぎて舌を巻いたのを覚えている。
配送されたのはプチプチに包まれた何らかの拡張カード。ナイツの紋章が印刷されている。
玲音が坂道を上がって帰宅してくると――、岩倉家前にあの車が堂々と駐まっていた。
茫然と立っていると、車から二人のMIBが降りてくる。
当初MIBは、その本来の在り方通り(無個性・外国人を思わせる・全身黒ずくめ・車も黒塗り)、個性を与えるつもりが無かったのだが、岸田さんのデザインで明確なキャラクターとしての存在感を与えられていた為、急遽名前をつけた。クレジットはずっと「黒の男たち」だが、カール・ハウスホッファと林随錫とした。
彼らはある所へ一緒に来て欲しいと玲音に言う。
「え……」
どうする玲音。
夕暮れの街を相変わらず歩いているねずみ。
執拗なナイツ加入の懇願リクエストが、何者かによって承認される。
すると何処かへのゲートウェイが開いた。
この下降していく映像は、大判の基盤の画像をAfterEffectsでパースをつけて動かしたものだった。
〈追記〉思い出した。そんな大きな解像度の画像なんてあったかな、と記憶を絞り出したら、この映像を作る為に秋葉原のジャンクショップ回って、一番大きな面がとれる基盤を買ってきてスキャンしたんだった。
こういうトリップ映像の元祖はあまり指摘される事がないが、「2001年宇宙の旅」の終幕にある「スターゲート・コリドー」(光の回廊)場面だ。LSD無しで「飛べる」というので当時の若い観客がこぞって劇場へ行ったのだ。
ここからは私担当ではない。制服姿の玲音が現れる。