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serial experiments lain 20th Anniversary Blog

Layer:09 Protocol - Death to Taro

 

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 玲音はリアル・ワールドで自分の知らない玲音が頻繁に見掛けられるサイベリアへ赴く。

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 その姿を見つけたJJ、指笛で玲音を呼んだ。

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 忘れ物だと、封筒を手渡される。
 勿論玲音に心当たりは無いが、この一連のJJの言動は、彼が何ら謀略的な事には関与していないと思える。

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 封筒の中には――

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 ナイツの小さな拡張カード
 はて、これは何バスだろう。橘NAVI独自な規格か。
 

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 玲音はじっとそれを凝視しながら、これからどうするかを考えている。

 

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 ドキュメンタリは、ジョン・C・リリーの紹介に移る。
アルタード・ステイツ 未知への挑戦」(感覚遮断実験で超越的な体験をする科学者のSF)と「イルカの日」(イルカを軍事利用しようとする米軍と対立する科学者の話)という、全く異なる内容の二本の映画のモデルになっただけで、リリーはヒーローだと言えよう。
 アイソレーション・タンクは近年日本でも体験出来る施設があった様なのだが、ケタミンなど違法薬物を併用しないとリリーの実験を再現は出来ない。
 晩年にはE.C.C.O.という異次元人的な存在については言及しなくなった。

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 さて主題はイルカのエコーロケーションという、リリーの中期の研究テーマだ。
 近年、イルカはそれぞれ固有の「名前」を持っており、それで呼び掛けているらしいという研究が発表されている。

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 このイルカの3Dモデリングと海中の表現までは角銅博之さんが担当され、私がノイズを乗せている。
 私のTwitterアカウントでは、角銅さんが如何にデジモン・アニメ(特にアドベンチャー、02、テイマーズ)で、普通の演出家はやらない、自ら創り出す3D映像でテレビ・アニメの表現を拡大させてきたかについて触れた。
lain」のコンテを担当されるというので、「だったら」と私が作るつもりで書いたドキュメンタリ・パートを助けて戴いたのだった。

 

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 玲音はタロウを「デートしよう」と誘い出す。

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 タロウは興味なさそうにしていたが、

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 玲音は「ワイヤードのレイン」そのものだと改めて知り――

 

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 玲音の部屋に招き入れられたタロウ、冷却装置に興味津々。「液体炭素?」と聞いているのだが、勿論炭素が液体化可能なのは深海底ぐらいのもの。普通にシナリオでは「液体窒素」だったのだが、何故か変わっている。

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 20年前、PCの液体窒素冷却というのは冗談だったのだが、インテルのCPUが高熱化し、オーヴァー・クロッカーは実際に液体窒素を(リスク込みで)挑戦する人が現れた。普通の御家庭では決して導入してはならない。

 タロウに玲音は、JJから渡されたチップを見せて訊く。
「これなんだか知ってるよね」
 

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 被せてレインのドスの利いた声で「ナイツなんだよね」

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 逃げようと後退るが、水が漏れた床のケーブルに足を引っ掛けて倒れるタロウ。

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 玲音は、立ち上がる仮想モニタ群を背に立ちNAVIに音声コマンド。

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「Play Track 44」
 鳴り出すサイベリアの4つ打ち。


「カッコいい」場面なのだけど、このコマンドの意図は、本当は何らかの音声証拠をタロウに突きつけるものだった筈なのだが、シナリオでもただ音楽が流れると書いている。

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 JJがソースにしている音楽に、何らかの洗脳効果があるらしいという事は、玲音がタロウをいたぶって吐かせるのだが(この描写も現代だと虐待になるのだろうか)、もうちょっと判り易いシナリオにしておけば良かったなぁと少し後悔。

 

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 夫婦・父母役の仕事が終わった、康雄と美穂。

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 そして、自らモデムと化している、美香。

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 タロウは、ナイツの小間使い役を担っていたに過ぎないのだが、ナイツへの信奉は恐ろしいまでに純粋だった。「普通の人が知らない真実」という言葉に運命を狂わされたた若者は、過去の歴史を振り向けば少なくない。

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 タロウは、帰り際に玲音にキスをする。しかも噛んでいたガムまで玲音の口内に押し込んだ。

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 lainファンからタロウにヘイトが集まるのも此仕方ない。
 でも――、玲音にしてみれば、リアル・ワールドに岩倉玲音として居られた時期に、キスの一つも体験出来たのは、悪い事ではなかった気がしなくもない。

 

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