子ども用NAVIが文字化けする程まで酷使するに至っている玲音。
姉の美香は、シナリオではそれほど剣呑なキャラクターと想定していなかったが、中村隆太郎監督のコンテは徹底的に相手と目線を合わせない演技をさせている。
超ハイコントラストな玲音の学校への登校場面はバンク。
それに続く駅への坂道が少しずつ異相を提示し始める。
じっと電柱の影に立ち玲音を凝視している謎の外国人。
ここでの見せ方は、四方田千砂などと同じ様な「この世の者ではない存在」という様に玲音には見えている。
UFOフォークロアに登場するMIBは、UFOやエイリアンを見たという人のところに現れては、他言すると良くない事が起こると威圧する「黒い服の男達」の通称なのだが(後にパロディ映画シリーズが作られる)、その正体が「政府の職員」「人間の姿をしたエイリアン」はたまた「あれはアンドロイドだ」という様に、様々に解釈がされている。勿論「妄想」も有力な解釈なのは間違いない。
自らの存在を誇示して威圧する男達――という存在は私の脚本作品では割と多く登場させている。「デジモンテイマーズ」では、主人公の一人の父親(デジモンの劇中での開発者)の許に現れる(山木満雄の部下の公安系だという事は後に明らかにしている)。
「lain」でのMIBの役割は、それ程大きなものにする予定はなかったのだが、岸田隆宏さんのデザインを見て、「ああこれは『ちょっと異様』どころではないなぁ」と、キャラクター性を強く出す事に方針転換をした。
もう一人のパートナー(中国人)と共に、よりMIBらしく登場するのは3話から。
2話は「玲音の日常学校生活を描く」事がそもそもの主題で「Girls」はその名残に過ぎない。でも「Accela」とかいきなり造語を出すのもよくないので、このままになった。
ありす達は前夜、サイベリアで玲音に似た少女を見たと話す。
徐々に3人の中に入っていく玲音。
玲音にも夜遊びを持ちかけるありす。
このメール表示は中村隆太郎コンテほぼまんま。
それを中原君が情報量を増やして表示させている。
安倍君デザインの携帯端末は電話でもありメーラーでもあるという意味ではまさにスマートフォン。ペン入力というのは今でも採用する端末がある。
私はPalm機を使っていた頃、Grafittという簡易ローマ字入力には慣れていた。
しかしその後、高速なフリック入力が広まるなんて予想は出来なかった。もう私は順応出来ず、QWRTYでちまちま入力している(だから殆どスマホでテキストは打たない)。
当時の携帯電話はこういうもので(当然中学生が持てる様なものではなかった)、僅かな文字列しか表示出来なかった。
玲音はサイベリアへ行く事に躊躇し、断るメールを書きかけて、やめる。まだ「どうしよう」という状態。