少年の供述は、実際の時間軸はずっと後の時制のもの。
PHANTOMaはアプリとしてダウンロードされるのだが、ワイヤードでそのアプリケーションが幼児の鬼ごっこアプリと悪意あるリンケージが張られていた。
先程の「ワイヤードの声」によると、それは「ナイツ」の仕業ではないかという噂が流れているという事を玲音は知る。
と――、そこに康雄が声を掛ける。
「ワイヤードはあくまでコミュニケーションの場であって、リアル・ワールドと混同してはならない」という旨を告げる。
これが、康雄が課せられた役割としての言なのか、彼自身の心中にある希望を述べているものなのか――
だが玲音は不適な笑みを浮かべて否定する。
「そんなに境界ははっきりしてないみたいだよ」
玲音はもうすぐ、「フルレンジ、フルモーションで」ワイヤードで自在に活動出来る様になると言うが、民生用NAVIでそんな事は不可能。
康雄はプシュケーの事を知らないかの様なもの言いをするのだが、当然彼は玲音がそれを入手し、自ら実装させた事を知っている。
「あたしはあたし、心配しないで」
今の視聴者が見ると、女の子の口語一人称が「あたし」というのは下品に聞こえるだろう。しかし20年前は余程改まった時でない限りは「わたし」ではなく「あたし」が普通だったのだ(成人は「わたし」が普通で、「あたし」だとはすっぱな印象だというのは今と同じ感覚)。
当時は「ウチら」といった言葉もなかったし、こういう言葉遣いの面はやはり時代を感じてしまうところだ。
「ナイツ」なるものが何なのか真剣にサーチをしようとしていた玲音に、レーザーポインタの光が当たる。
室内を動く光点を見て、窓外からだと察知。下を睨むと――
MIBがいる。玲音のNAVIがどこまで発展しているのか、玲音にどんな変化が起きているのかを観察していた様だ。
玲音は強い顔――、「ワイヤードのレイン」の様な声で「あっちへ行け!」と二度叫ぶ。
この二度目の時、MIBの一人の暗視ゴーグル風裝置(今で言うARインターフェイスも兼ねている)が破砕され、MIBは撤退していく。
この一連の描写はまるで玲音がサイコキネシスか、魔術的な力を用いたかの様に見えるだろうが、当然これは玲音のNAVIが玲音のヴォイス・コマンドによって作動させた防衛システムが機能したに過ぎない。
「Intruder Interrupted.」というメッセージは、モニタに表示すればいいと思って書いたのだが、隆太郎さんはこれもSの台詞として言わせた。
この辺りで確か、隆太郎さんに訊いた記憶がある。何故台詞で言わせるのかと。
隆太郎さんの答えははっきり覚えていないが、「その方がカッコいいじゃん」だった気がする。
隆太郎さんと私は敬語で話し合ってたのだが(それは最後まで)、酒が入って饒舌になると、隆太郎さんは「え~? だって××じゃん」とハマッ子みたいな口調になった。
毎回の終幕に出る「To Be Continued」(何故かピリオド無し)の「Be」にだけ色がついているのは、上田Pの趣味。多分BeOSからの引用。
尚、シナリオ本の「Interrupted」のスペルが間違っている。
はぁぁぁぁぁぁ