玲音とワイヤードの脅威となっている「ナイツ」なる組織とは何かを明かすのが今話。 冒頭のヴォイス・オーヴァーは、「かくしてネットではデマゴギーが成立するか」について。 コンテ:中村隆太郎 演出:松浦錠平 作画監督:丸山泰英 ナイツに爆破された玲音…
「serial experiments lain」に登場するKnightsについて説明をする前に、実際のネット・コミュニティの中に於ける匿名発言の在り方について、現在までの流れをざっくり述べておきたい。なるべく簡便に記すが、それでも各話回顧に入れるには分量が多くなって…
玲音は自室の肉体に戻り、ナイツに問い質す。 これまで玲音に優しく接してきたナイツが、若干混乱している。 はぁ、と天井を見上げると――、レーザー・ポインタの光点再び。 もうか弱い玲音ではない。 床の水を跳ね上げながら、部屋を飛び出していく玲音。 そ…
ホジソン教授が以前行った実験は「ケンジントン実験」というものであった。 子ども達の脳から微弱に発せられるPSI(マイクロPSI/超能力というより超知力)を脳外のアウター・レセプターという裝置によって採集し、ウィリヘルム・ライヒのオルゴン・ボックス…
部屋に帰ってきた玲音は、既に「ワイヤードのレイン」の様に気が強い顔になっている。 乱暴にリップを拭い、「Hello NAVI」「Connect」という通過儀礼を行うが、これまでは単にインターフェイスとの対話だったのに対し、ここからは玲音の意識変容を経てワイ…
玲音の携帯NAVI入力が高速化している。 ありすは玲音が以前の様に、内向きな感じに戻っている事を懸念している。 やはり玲音はワイヤードばかりだと知るや麗華が「ネットパルなんて」という台詞を言うが、これも当時にも無かった言葉だ。昔の古式ゆかしい「…
中村隆太郎監督の演出法が見え始めた頃に書いたエピソードだった。 私は実写であれアニメであれ、30分(22分)には最大限に情報量を入れ、細かいシーン・バックで展開させる方が多いのだが、「serial experiments lain」では極力、静的な話法を貫くべきだと…
「serial experiments lain」が放送されて20年になる、という事でファンの有志の方々によってイヴェント「クラブサイベリア」が7月7日に開催される(チケットは既に完売してしまったがキャンセル分が今後僅かに出るかもしれないので、シオドアさんのアカウン…
「serial experiments lain」シリーズの監督を探している時期、トライアングル・スタッフの浅利社長と、当時はフィールド・ワイに属していた鈴木誠二氏の推薦で中村隆太郎さんが監督に迎えられる。劇場作品は既に何本も手掛けていたが、テレビ・シリーズは初…
中村隆太郎監督参加以前の構想と参加後の全体構想とでは、結末以外は大きく変わってはいない。しかしナラティヴの面では180度近く変わった事は間違いない。 シリーズに着手し始めた1997年はドラスティックな変化がある時期だった。神戸連続児童殺傷事件が起…
意識変容状態で気づくと、美香は渋谷交差点の真ん中でへたり込んでいた。 その美香を見ている、歩道の人々はまるで人間ではない何かに変容していく。 魚眼レンズ接写はこのシリーズで度々導入されるカットで、リアルに像を歪ませている(Distortion)。 キャ…
出来事の順番など、シナリオから更に難解に時制を入り組んだものになっている。これは隆太郎さんの修正コンテの指示だと思う。 美香は苛立つと髪をかき上げる癖がある。これはシナリオにはなく、岸田さんのデザインから導かれた演技。 ふと気づくと、スクラ…
5話目にしてついに中村隆太郎監督はコンテを譲るものの、13話の内コンテを担当していないのは5,9, 10話のみ。またその3話分も結構手を入れてはいる。 5話は「一番怖かった」という人もいた程、特異な回になった。コンテ+演出は村田雅彦さん(ずっと後にACT…
少年の供述は、実際の時間軸はずっと後の時制のもの。 PHANTOMaはアプリとしてダウンロードされるのだが、ワイヤードでそのアプリケーションが幼児の鬼ごっこアプリと悪意あるリンケージが張られていた。 先程の「ワイヤードの声」によると、それは「ナイツ…
学校では少年の不審連続死事件の噂で持ちきり。「3年の男子」という台詞を書いてしまったのもここ。いや申し訳ないとしか……。 しかし当時誰も気にしていなかったのも不思議だ。 玲音はすっかり明るい性格になっていて、ノリも軽くなっている。本来なら喜ば…
私がオリジナルで物語を作る場合は、主人公とて変化をしていくのが通例だ。最初に提示したキャラクター観がそのまま維持されないので、キャラクター物として観ようとすると違和感を抱かれる場合が多い。当然、キャラクターだけの事ではなく各話で提示する物…
同時視聴会の話数も進んできた。 4,5話は中村隆太郎監督参加以前に書いたが、1クール構成なので既にセットアップも終わる事になる。 こうして回顧を書くのは、20年という長い長い時間が経っているからで、そもそも抽象的な物語を言葉で説明する事自体は実に…
ACT.3は再びサイベリアが舞台となる。 玲音はPsycheをどうしたらいいか情報を得る為に、サイベリアへ向かう。 今夜は地味な格好。 家を出る時、黒塗りの車の中から玲音を観察するレーザー光点が二つに増えているのが判る。 誰か訊ける様な人はとクラブ内を歩…
教室ではありす達が質問責めに遭っていた。ありすは玲音に近づいて謝りたかったが、なかなか近づけずにいる。それを見て玲音は微笑み「大丈夫」と知らせる。 ありす、それを見て安堵。 と、画面内では前夜サイベリア事件の事を音声で流れていても、ヒロイン…
2話まではコンテ・演出をこなされてきた中村隆太郎監督だが、3話から演出を委ねざるをえなくなる。3話は松浦錠平さんが演出。「lain」のシナリオを何時から書き始めたか、NASに保存してあるファイルを調べたが、後半からはPDFが保存されていたものの、序盤の…
NAVIが動き出しても、千砂や誰か知らない人物からのメールは来ていない。 携帯NAVIの方にはありすからのメッセージが着いている――という事はアカウントはリンクしていない様だ。 ともあれ消極的にだが、玲音は街に出る。 玲音は安倍君も版権毎に新規な衣装を…
この回のメインのメッセージがこれなのだが、他のあまり意味のないテキストと紛れさせている。「人はみな、つながっている」のが「lain」のテーゼで、それは良きにつけ悪しきにつけ、そもそもそうなのだという前提だった。 ワイヤードがどの様にリアル・ワー…
子ども用NAVIが文字化けする程まで酷使するに至っている玲音。 姉の美香は、シナリオではそれほど剣呑なキャラクターと想定していなかったが、中村隆太郎監督のコンテは徹底的に相手と目線を合わせない演技をさせている。 超ハイコントラストな玲音の学校へ…
名前すらない「少年」がアクセラという精神高揚剤を摂取する。 最初は普通に薬物にしていたのだが、当時でもテレビでそういう描写は駄目だったので、だったらメカにしておけばいいや――という問題では無かったのだが、一応これで通ってしまった。 アクセラと…
視聴者に異様な体験をさせるのが1話なら、2話からは徐々にドラマとキャラクターを(比較的には)判り易い語り口で提示していく。 しかし勿論、判り易いレヴェルというのがこの作品の場合は通常とは異なるのだが、それでも「ああいかん、判り易過ぎる」と揺り…
1話のAct:3は些か書き急ぎ過ぎてしまった。 1話のシナリオについて書き忘れた事を。 人身事故で急制動を掛ける電車の描写が引きのまま1カットで描かれていて、これがまた凄いカットだった。 シナリオでは「白地にビットマップ・フォント」で短いテキストを度…
さて長々と記してきた1話の回顧もここまでとなる。 最後のくだりについては、もうシナリオ云々ではなく、中村隆太郎監督の演出パワーに尽きるのだが、言及しておかねばならないのが、鶴岡陽太音響監督と音響効果の笠松広司氏の作り上げる音響デザインである…
玲音の「父」役・康雄をどういう存在として描くか、その結着のさせ方は、大林隆介さん(当時:隆之介)の演技を聞いてから決めた――と私は記憶しているのだが、1話のアフレコ後に終盤のシナリオを書いている事など有り得るのか、と考えると錯覚なのかもしれな…
シナリオ本が手元にあったら当該箇所を読んで比べて欲しいのだが、玲音が「千砂ちゃんからのメール」が心の中で大きなものになって、どうしても確かめたくなって初めて子ども用NAVIを起動するまでの流れを、シナリオではあっさりと書いていた。 中村隆太郎監…
シリーズの玲音以外のキャラクターに安倍原案は無く、岸田隆宏氏がゼロから全てデザインを起こされた。後にAX連載などで、安倍君によるありすや英利の絵も描かれる事になる。 ありす、そして級友の麗華、樹莉はいずれも「ありす in Cyberland」のヒロイン3人…